第119回 世界に誇れる明治の橋

東京には、隅田川などいろいろな川が流れており、そこに架かる橋も多くあります。それらは明治から昭和初期にかけて建設されました。そして、それには金井彦三郎氏の貢献が光っています。金井氏は大卒ではなく、給与も低かったそうですが、英字本などを頼りに独学で橋の設計に携わりました。1898年には、日本初のアーチ橋である浅草橋が完成しましたが、これも金井氏が独学で設計したものだそうです。また、金井氏は東京駅の基礎構造の設計にも携わりました。その仕事ぶりは素晴らしく、東京駅は関東大震災の時でも、ひび一つ入らなかったそうです。

金井氏に限らず、当時の技術者たちの橋にかける情熱と先見性の高さには、目を見張るものがあります。例えば、関東大震災の復興で架けられた永代橋や清洲橋は、90年後となる1980年の設計基準を上回る強度で建設されているそうです。更に、これらの橋は将来の自動車社会の到来を見越し、現在の橋の約2倍の重さにも耐えられるような構造になっているそうです。

当時の物資の運搬には、専ら大八車などが使われていたことを考えると、その先見性はあっぱれという他はありません。
このような事実を知ると、昔の技術者の心意気を感じることができ、私はとても感動しました。

第118回 新・四畳半暮らし

みなさんは四畳半暮らしと聞くと、どんなことを連想するでしょうか。私は、学生時代の若者の貧乏な四畳半暮らしを思い浮かべます。ところが今、「新・四畳半暮らし」は、都会に住む若者の新しいライフスタイルだと聞いてとても驚きました。

都会の四畳半程度の部屋とは、どこにあり、どんなものだと思うでしょうか?その立地は、例えば“早稲田駅から徒歩7分”といったように駅から近く、職場と住まいが近距離にあり、家賃は月5~6万程度なのです。そして、その四畳半程度の部屋の間取りは次のようになっているそうです。

(1)洗面台と流し台を兼ねたシンク
(2)その下にはめ込まれたドラム式洗濯機
(3)その隣にむき出しのまま設置されたトイレ
(4)風呂には浴槽がなくシャワーのみ
(5)あとはベッドが置けるだけのスペース

私は、このような部屋で若者が生活するということにとても驚きました。机も本棚もなく、趣味の道具を置けるスペースもないようなところで毎日を過ごす生活なんて、私には信じられないからです。

では一体、若者はどんな生活をしているのでしょうか。どうやら今の若者にとっては、スマホさえあれば何でも事足りるようです。テレビも見られるし、色々な情報も引き出せます。冷蔵庫がなくても、近くにコンビニさえあれば困りません。

では、今の若者は何を一番求めているのでしょうか。それは、「とにかく通勤時間を短くして早く寝たい」ということのようです。私はこれを知って複雑な気持ちになりました。1つは、電通の事件などで問題になった残業などにより、若者が追いつめられているのではないかということです。もう1つは、このような風潮が進むと、世の中全体が「消費をしないサイクル」になり、ますます不況になるだろうということです。例えば、車に乗りたければレンタカーで済ませ、服は最低限のものしか持たず、それを着まわすといった傾向が強まるでしょう。そうすると、ますます人々は苦しい状況に追いこまれないでしょうか。

私が若かった頃に比べ、世の中が大きく変わってきていることを知り、とても驚いています。

第117回 「おもてなし」と「ホスピタリティ」の違い

相手のためを想って相手に尽くすことを、日本では「おもてなし」といい、西洋では「ホスピタリティ」と言います。でも、その中身は少し違うようです。では、その2つはどこが違うのでしょうか。それについて、(株)ことほぎ代表取締役の白駒妃登美さんの文章を読み、「なるほど」と思ったので紹介します。

まず、西洋の「ホスピタリティ」は、「人に対してなされる」ものだそうです。相手が人なので、人の目に見える所にしか心を尽くしません。だから例えば、ホテルの掃除にしても、人の目に見える所が中心です。そのため、かなり格式の高いホテルでも、人の目に触れないベッドの下にホコリがたまっていることがあるようです。

その一方で、日本の「おもてなし」はどうでしょうか。それは、「相手に対して」ではなく、「神様に対して」だそうです。確かに日本人の心の中には、誰も見ていない所でちょっと悪いことをする場合でも、「天から神様が見ている」と思い、うしろめたく感じるという心があります。

このような心の構造があるので、掃除にしても、人の目が触れないところでも、徹底して行うことになるそうです。確かに、日本の職人が作る工芸品や大工仕事でも、決して人の目に触れない所まで、手を加えているという習慣があります。それはやはり、日本人のおもてなしや行動には、「おもてなしの相手は神様である」とか、「誰も見ていなくても神様が見ている」という心情が通っているからかもしれません。

第116回 若々しい脳の作り方

脳の科学者・医学博士である岩崎一郎氏の講演のダイジェストを読みました。アメリカ・シカゴにあるラッシュ大学付属病院の研究チームが、1000人以上の高齢の方たちにアンケートを取ったそうです。その結果から、「志が高い人(他人のことを思いやることのできる利他的な人)ほど、脳が健康な状態に保たれている」ということが分かりました。

では、脳が健康であるという状態は、どのようなことをいうのでしょうか。それを調べるために、アメリカのカリフォルニア大学のグループが研究しました。その方法とは、おでこの辺りにある、脳の司令塔の役割を果たす「前頭葉」とよばれる部分を、強力な磁気刺激を使って、活動できないようにするというものでした。その結果、「脳はもともと利他的な考え方や行動をとる」ということが分かったそうです。つまり、人間の脳は、人の幸せや世界の平和について考える方が、生まれつき持っている特性を発揮する、ということです。

これらのことから、脳を健康に保つには、「人の幸せや人の役に立つことを考え、行動することが大切である」と言えそうです。逆に、利己的なことばかり考えていると、脳にブレーキをかけてしまい、認知症になりやすく、更に、寿命も短くなりがちだそうです。

私はこれを知って、自分の幸せを追求することも大切ですが、周りの人を喜ばせることをもっともっと意識せねばと、痛感しました。