第260回 変化する中国

私は、ある経営コンサルタントの方の記事を読んで衝撃を受けました。以下は、それをもとにした私のレポートです。

中国は一党独裁の国なので、国家戦略も法律も国民の同意を得ずに変えられます。そこで、中国はその強みを生かして、14億人という膨大な国民を使い、他国にはできない「総デジタル化」という社会を変える実証実験を進めているそうです。米国の調査会社IDCの報告書によると、中国の監視カメラは、2020年までに27億6千万台に達するそうです。これは、日本の500万台と比べると桁違いな数です。これによって、中国では歩行者だけでなく、自動車、電車、飛行機などの位置情報も全て収集されているとのことです。

これらの設備と顔認証システムによって、個人が特定され、誰がいつどこを歩いていたのかまでもわかってしまうそうです。その一例として、6万人の観衆が集まるコンサートで、警察官が自分の顔にかけている顔認証サングラスを使って逃亡犯を捕まえる、というような場面も生まれています。

また中国では、自動運転の実験も積極的に行われているようです。自動運転車が普及すると、自家用車が不要になり、駐車場もいらなくなり、渋滞も交通事故もなくなるとのことです。

また、中国では出前も進化していて、GPS付きのスマホで料理を注文すれば、その人がどこにいても、その人のいるところにその出前が届くそうです。このシステムに自動運転が加わったらどうなるのでしょうか。これから中国を先頭として、世の中はどのように変化していくのでしょうか。

第259回 文章作れぬ若者

2019年12月3日に、OECDが行った学習到達度調査(PISA)〈2018年調査〉の結果が発表されました。それによると、日本の15歳の読解力は、15年調査の8位から15位に後退しました。翌日の読売新聞では、一面トップに「文章作れぬ若者」という記事が載りました。

大手予備校の現代文講師である小池陽滋さんは、ある受験生から提出された要約文を読んで、「またか」とため息をついたそうです。そこには「この公園には滑り台をする」と書かれていたとのことです。こうした「主語・述語が不明確で、意味が通じない」文章は、近年特に目に付くそうです。中には、原稿用紙2枚分の作文を、全て「、」でつなげ、一文で書いてきた高校生もいるそうです。

この原因の1つには、SNSの普及があると考えられています。スマホを使って友人らと短文をやりとりする「LINE」などの利用が広まっています。それを利用すると、「スタンプ」だけでも感情を表すことができます。このようなことばかりしていると、正しい日本語に触れる機会も減り、言葉の乱れに通じるとも考えられます。企業からも「若手社員の作った社内文書がわかりにくい」という声が高まっているようです。

当社では数年前から、子ども達の読解力が落ちていることや、文を書く力が衰えていることを危惧してきました。そこで、『読解はかせ』や今回新発売の『作文・小論文の名人』などの開発に力を入れてきました。これからは、これらの教材も利用していただき、子ども達の国語力が元通りになることを願うばかりです。

第258回 これからの経営方法

先日、知人のお子さんで、大学2回生の女子学生と話す機会がありました。彼女は、京都の祗園にある、ある高級料亭でアルバイトをしています。そこは、礼儀作法に厳しく、それはそれなりに勉強になるようです。そこの社長さんは、職人上がりの厳しい人のようで、アルバイトにも高度なことを要求するとのことです。

例えば、一品一品の料理の説明です。コース料理の突き出しに5品出たとしたら、それぞれについて、その材料などをお客さんに説明するのが義務づけられているとのことです。そのため、アルバイトは入店と同時にその説明を覚えさせられます。そして、それを覚えられた段階で、タイムカードの打刻を許されるそうです。また、研修期間は3ヶ月ですが、ある基準に達しないと、6ヶ月に伸ばされ、それまでは少し低い時給のままだそうです。仕事ぶりも、正社員並のレベルと店への忠誠を求められるとのことです。

このような職場環境のため、向上心や根性のあるアルバイトは長続きするようですが、多くのアルバイトは次々に辞めていってしまうとのことでした。社長さんとしては、アルバイトに仕事や社会の厳しさを覚えさせたいとの想いがあるのでしょうが、現実問題としては、この人手不足の世の中を考えると、厳しい経営法だなと感じました。

この話を聞いていて、「私ならどうするかな」と考えました。一つの方法として、「楽しい雰囲気の中で、アルバイト達の能力をアップさせ、社長さんもアルバイト達も喜ぶ」という道が考えられないでしょうか。例えば、前述の料理を覚える件では、その暗記をゲーム形式にしてしまうなどです。何分以内に覚えられたらポイントが加算され、そのポイントがボーナスになる、などの工夫です。このようにすれば、アルバイト達は早く覚えようと必死になるし、同時に能力もアップすることでしょう。また、経営側にとっても、ワイワイと楽しい雰囲気の中で、アルバイト達のスピードアップや能力の向上が期待出来ます。そして、それらの方法が定着率のアップにつながるかもしれません。職場を大学のサークルのような雰囲気にして、アルバイト達のやる気アップや能力向上を図るという経営方法も、これからの時代には大切なように思います。

第257回 「9時10分前」という言葉の意味

先日、健康社会学者(Ph.D.)である河合薫氏の文章を読みました。氏の講演会後の懇親会で、管理職達の「20代の社員達の日本語能力低下に悩まされている」という話で盛り上がったそうです。

例えば、ある管理職が主催した9時スタートの研修会では、5分、10分の遅刻をする社員が多かったそうです。そのため、「次回からは、必ず9時10分前には集合しているように」と注意したそうです。すると、その言葉に対してキョトンとした顔をする人もいたそうです。そこでその人は、「まさか」とは思いつつも、「8時50分に来ること」と補足して伝えると、「あっ、そういうことか」と返されたそうです。

その話が出ると、次から次へと同じような話が飛び出したそうです。例えば、「部下に『そのタスクは結構骨が折れるから覚悟しておけよ』と言ったら、『え、それって肉体労働なんですか』と返された」などです。

河合氏は、そのような「日本語能力低下の原因」として、「小学生時代に読書の習慣をもたない」ことを挙げています。小学生時代に読書習慣をつけておかないと、中学、高校と進むにつれ、ますます本を読まなくなるようです。

第256回 ノーベル賞をとれる基礎

私は先日フェイスブックで、とある大学で教授をしている人の話を読み、興味を覚えました。その方によれば、日本の学校教育では、理科の授業において、テキスト上の勉強だけではなく、実際に自分の手を使って実験することに重きをおいている。また、高校では大学の研究室に生徒を連れて行き、最先端の技術を体験させる取り組みをしているところもある。こうした授業内容が子ども達の興味を引き出し、将来の夢につながり、ひいてはノーベル賞受賞にもつながっていくのではないかとのことでした。

最近は塾においても、理科の実験に力を入れておられるところもありますが、それはとても素晴らしいことだと感じます。

第255回 言葉遣い

ある新聞の記事を読んでいて、学校の職員室で次のような会話がなされていることを知り、子どもたちの国語の環境に不安を覚えました。

「遠足、雨で延期になりそうだよ。」「マジか。」

「書類の提出期限、今日だったよね。」「ヤバい、忘れてた。」

さらに、次のような会話もあるようです。

「○○さんの絵、メチャクチャいいね」「メッチャ、いけてるよね。」

これらの会話は、若い先生方だけでなく、学校をけん引する立場にある中堅教員の中でも行われているとのことです。このような言葉を使うと、子どもとの距離が縮まるような気になるので、使われるのでしょうか。

言葉遣いが丁寧で、敬語も上手に使える人は、人格的にも尊敬されると思います。また、美しい言葉遣いを聞いた子どもたちは、それを真似することで語彙も豊富になり、国語力もアップしていくと思われます。家庭内や塾内で、もし子どもが「メッチャ、ヤバい!」などの言葉を発したときは、「それでは何のことかわからないので、そこのところを詳しく説明してくれないかな」などと、もっと子どもから言葉を引き出してあげることも大切かもしれません。

第254回 伸びる子どもの条件

この頃、職場に入ってきた次のような新人に手を焼く、という話をよく聞きます。

1.注意するとひどく落ち込む。

2.注意に反発する。

3.「どうもこの仕事は自分には合わないみたいです」などと、すぐに音を上げる。

4.理不尽な要求や叱責をする取引先や客にキレてしまい、せっかくの関係を台無しにする。

また、学生達と接している大学の先生にも、「最近は、我慢ができない者が多い」や、「すぐに『心が折れた』と言い出す者が多い」と感じる人が多いようです。また、学生達と話していて、「もうちょっと頑張ってみたらどう?」みたいなことを言うと、「いいんです。どうせ無理だから」「意思が弱いから無理です」「頑張ったっていいことないし」などという人もいるようです。

なぜ、このような若者が増えているのでしょうか。私は、『伸びる子どもは○○がすごい』榎本博明 著〈日経プレミアシリーズ〉を読んで、その本質をつかむことができました。それを理解するための一つのキーワードが「復元力〈レジリエンス〉」のようです。

この力は、子どもの頃に何か失敗したり、自分の思うようにいかないことがあっても「なにくそ!」と思い、それをはね返していくような力です。最近は、「叱るより、褒めて育てる」などの教育論が盛んなようですが、「悪いことは悪い」として毅然と叱ることは、とても大切なようです。

最近の幼稚園教諭を対象とした調査では、最近の親について、次のような感想を持つ人が多いようです。

1.過度に世話を焼く親が目立つ。

2.とにかく甘やかす親が目立つ。

3.自己中心的な親が目立つ。

4.マナーが悪い親が目立つ。

5.子どもをしつけるという自覚のない親が目立つ。

6.子どもの機嫌を伺うような親が目立つ。

もし、このような傾向が進んでいるとしたら、子どもの「復元力」を鍛える機会はどんどん少なくなっていることでしょう。「子どもを叱るのはかわいそうだ」と思って叱らないで子育てすると、マナーや常識が欠落した人間となってしまい、子どもが社会に出たとき、簡単に『心が折れた』などという状態になりやすいと思われます。

子どもは、自然の状態だと衝動のままに動きます。子どもを自由にさせるということは、衝動のままに動くことを認めることになりますが、それでは社会生活を送れません。そして、叱られることで「折れない心」が作られていきます。親が子を叱るということの根底には、「子どもが立派な人間に育って欲しい」という親の愛情があふれていることでしょう。

甘やかされて育ってしまった子どもは、社会に出てからそれを修正しようとしても、なかなか直らないという厳しい現実があるようです。親は、子どもの力を信じて温かく見守りつつも、「ダメなものはダメ」という厳しい姿勢で子どもに接することが大切なようです。

第253回 変わりゆく慣用句

10月29日に、文化庁の2018年度の「国語に関する世論調査」で、現在での慣用句の使われ方が発表されました。

「自分の言うことに、嘘偽りがないことを固く約束するさま」を意味する本来の慣用句は、次のA,Bのどちらでしょうか。

A「天地天命に誓って」

B「天地神明に誓って」

正解はBですが、Aを使う人が約54%いるようです。また、「論理を組み立てて議論を展開すること」の本来の慣用句は、「論陣を張る」ですが、今や「論戦を張る」と使う人が44%もいるようです。「前言に反したことをすぐに言ったりするさま」は、「舌の根の乾かぬうちに」が本来の使い方ですが、「舌の根」でなく「舌の先」と言う人も増えているようです。

では、「砂を噛むよう」は次のA,Bのどちらでしょうか。

A 悔しくてたまらない様子

B 無味乾燥でつまらない様子

正解はBです。

この調査で面白いのは、若い人ほど正解率が高かったことです。この理由としては、学校が過去の世論調査の結果を授業で使うなどした影響が、考えられるとのことです。

第252回 ハサミムシの一生

私が庭で植物の世話をしているとき、ちょっとした石を動かしたときなど、ハサミムシを見かけることがあります。ご承知のように、ハサミムシには尾の先に大きなハサミがあり、それで他の虫を捕まえたり、威嚇したりします。ハサミムシはゴキブリと同じく、「生きた化石」と呼ばれるほど原始的な昆虫です。

そんなハサミムシですが、一般の虫には見られない特徴があります。それは、昆虫の仲間としては珍しく「子育てをする」ということです。普通の昆虫や動物では、母親が産んだ卵は産みっぱなしで、子は勝手にかえり、勝手に育ちます。一方、はさみ虫は産んだ卵を母親が守るのです。ハサミムシは、冬の終わりから春の初めに卵を産みます。母親は飲まず食わずで卵にカビが生えないよう、順番に1つ1つ丁寧になめたりします。また、空気に当てるために、卵の位置を動かしたりしながら、丹念に世話をしていきます。このような世話をずっと2か月近くも続けるのです。

そして、ついに卵のかえる日がやってきます。このときの母親の気持ちはどのようなものでしょうか。そして、それをどう迎えるのでしょうか。何とそのとき、母親はお腹を上にして、ひっくりかえるのです。ハサミムシは肉食で、小さな昆虫などをえさにしています。しかし、かえったばかりのハサミムシの幼虫は、獲物を捕ることができません。そこで、幼虫たちはすがりつくかのように、母親の体に集まってきます。そして、あろうことか、幼虫は母親の体を食べ始めるのです。子どもたちに襲われた母親は、逃げる素振りも見せず、ただ黙って自分の体を子どもたちに差し出すのです。

動物たちはそこまでして、自分たちの子孫を残す努力をするのですね。翻って、「人間」はどうでしょうか。子どもを慈しむどころか、虐待する親もいます。人類は破滅の方向に向かっているのでしょうか。

なお、この話は稲垣 栄洋氏の書いた『生き物の死にざま』〈草思社〉によっています。ご興味をお持ちの方は、是非、ご一読をおすすめします。いろいろな動物を通じて、「生きることの意味」などについて、考えさせられる名著だと思います。

第251回 最近の教育情報

「生存競争で生き残る者は、強い者ではない。変化に対応できる者である」という言葉があります。最近の教育情報を見ていると、10月から始まった「幼保無償化」をうまく利用した「バイリンガル幼稚園」が生まれている、というものがあります。これは、「やる気スイッチグループ」が全国に展開する予定のものです。

この幼稚園の扱いは認可外保育施設であるため、月謝は月10万円前後です。しかし、今回からの制度変更で、3~5歳児では国から3万7千円の補助が出るため、高額な月謝の負担感も軽減されるようです。この情報を知って、「なんと素早い対応だろうか」と驚きました。

また、神奈川県では全ての県立高校で、生徒が私物のスマホを学習に利用できる環境を整えるそうです。すでに川崎市にある県立生田高校では、スマホの利用による授業が行われ、成果も出始めているようです。ただし、スマホを授業で活用する前提として、ユーザーIDとパスワードは絶対人に教えないとか、充電は自宅で行う、などの利用ルールが定められているようです。高校生のスマホ所有率は現在、9割を超えているようです。こういう取り組みも、時代の変化に対応していると言えるでしょう。