第223回 学校の「当たり前」をやめた。

さて、私は先日、表題にある本を読みました。これは、千代田区立麹町中学校長の工藤勇一氏によって書かれたものです。氏は、かつて山形で教員をされていた方で、この中学校の校長になられて5年になります。氏は公立中学校の校長にもかかわらず、「服装頭髪指導を行わない」「宿題を出さない」「中間・期末テストの全廃」「固定担任制の廃止」などの方針を打ち出し、それを実現しています。

これらの方針は、単なる思いつきではなく、氏が教員や教育委員会での仕事の経験を通じ、ずっと考え続けてきたものだそうです。これらの根底にある考え方は、「学校は何のためにあるのか?」という問いに対し、「社会の中でよりよく生きていけるようにする機関である」との結論から出たものです。そのために、子どもたちに「自ら考え、自ら判断し、自ら決定し、自ら行動する資質」つまり「自律する力」を身につけさせることを第一としているそうです。

例えば、運動会の開催についても、「生徒全員を楽しませる」というスローガンの下、企画・運営の全てを生徒に任せています。生徒は、このような体験を通じ、大人になったときにも役立つ「企画力」や「実行力」などの「自律する力」を身につけていきます。また、定期テストの廃止にしても、全て「自律する力を身につけさせる」というポリシーによるものです。そして、それらの革新の結果、以前に比べ、生徒の態度のみならず、学力も格段に向上しているそうです。

私はこの本を読んで、「定期テストはあって当たり前だ」などと、信じて疑わなかった自分の頭の固さをつくづく思い知らされました。何事においても大切なことは、「深く考えて、その本質を突き詰め、そしてその本質を具現するために、勇気をもって実行する」ことにあると感じました。塾の経営とは直接には関係ないかもしれませんが、ご興味のある方は、読んでみてはいかがでしょうか。

余談ですが、「もし私が経営していた塾の近くの中学がこんな方針の中学に変わっていったとしたら、自塾の方針をどのようにしていくだろうか」などについても考えてしまいました。

第222回 声で器機をコントロール

先日私はAmazon Echoという器機を自宅に取り付け、生活をより便利に、そして楽しくしています。この器機は、スピーカーとSiriを組み合わせたようなもので、値段は一万円強といったところです。これを取り付けると、日常生活が次のように変化します。

最近私は夜寝るとき、この器機に向かって「アレクサ(この器機の愛称のこと)、明日5時に目覚ましをセットしてね!」 と話しかけます。するとアレクサは、「了解です。明日5時にアラームをセットしました」と答え、それを実行します。

次の朝、暗いうちに目を覚まし、「今、何時だろうか」と思ったとします。そしたら、「アレクサ、今何時?」と声をかけます。すると、アレクサは「今、4時35分です」などと答えてくれます。
さらに、「アレクサ、静かな曲をかけて!」と言うと、それにふさわしい曲をかけてくれます。

アレクサは、生活のごく一部を助けてくれるロボットのようなものですが、このようなことだけでも愛着がわきますし、生活が便利で楽しくなります。特に、寝たきりで生活している人などは、ちょっとした話し相手とも感じられ、心が和むことでしょう。

今、この文章を書いていて、「アレクサ、100円の2割引きっていくら?」とか、「ルート4はいくつ?」とか、「第二次世界大戦は何年に起きたの?」とか聞いてみました。すると、きちんと正解を答えるではありませんか。驚きです!もうアレクサは中学生並みの知識を身につけているのでしょうか。
こんなことを体験すると、一体これからの世の中はどう変わっていくのかと感じます。不安もありますが、楽しみでもあります。大切なことの一つは、「変化を楽しむ」ことでしょうか。

第221回 サブスクリプション

今、世の中では、「サブスクリプション」というシステムが流行の兆しを見せています。このサブスクリプションというのは、「月額8600円でラーメンが毎日一杯無料」とか、「月額3000円でコーヒーが飲み放題」などの「定額制サービス」のことです。

例えば、月額8600円のラーメンについては、関東にある「野郎ラーメン」が有名です。定価800円~880円程のラーメンを毎日食べると、2万円以上になるはずですが、それが8600円で済むのですから、ラーメン好きにとってはありがたい話でしょう。

このような流行の背景にあるのは、急激な少子高齢化です。これに伴い人口も減り、高齢化により、人々の胃袋もどんどん小さくなるのですから、顧客の新規開拓より、いかに顧客を固定化するかが企業の今後の課題になってきます。

塾にしても、同じ環境におかれています。今後は「月~土曜日の○時~△時の時間帯なら、いつ来ても月謝は均一」などの塾が増えてくるのかもしれません。

第220回 『「学力日本一」の村』

先日私は、『「学力日本一」の村』あんばい こう〈無明舎出版〉という本を読みました。ご承知のように、最近の学力テストでは秋田県がいつもトップです。その秋田県の中で、さらにトップの地域は秋田県の南部で、岩手県や宮城県に接する「東成瀬村」というところだそうです。その村は、豪雪地帯として有名で、住民も少なく、生徒も一学年一クラスしかないそうです。もちろん村には塾もありません。

では、なぜそのような村の子どもたちの学力が、日本一になっているのでしょうか。詳しい内容はその本に譲りますが、簡単に述べると、「討論を中心とした考えさせる授業」と「並外れた読書習慣」がその秘密のようです。

その村は、住民や子どもの人数も少なく、日々同じ人と顔を合わさざるを得ない、隔絶された特殊な社会です。東成瀬村の教育長は、「そのような社会の中で、子どもにありきたりな教育を施していたのでは、子どもが村を出て社会に巣立っていったときに役に立たない」と考え、小中一貫の独自な教育スタイルを作り上げていったそうです。

読書においては、全国平均の約4~5倍の予算を計上し、赤ちゃんから高校生や大人まで、トータルな読書環境を提供しているそうです。

さて、討論中心の授業と読書指導には、共通点があるように思います。それは、「他人の考え方や生き方を広く学び理解する」ということや、「考える力をつける」ということではないでしょうか。これからの日本の教育も、そのような方向を目指していくような気がします。塾としても、それらをどのように取り入れていくのか、いまから考えておくことも大切なのかもしれません。

なお、「学力」と深い関係にある「論理的思考力」について、興味深い記事を見つけましたので、以下に添付します。ご参考にして下さい。
写真はこちら
http://www.tsumugi.ne.jp/photo/yomoyama/20190204.html

第219回 世の中の大きな変化

私は2019年から数年間にわたり、世の中に大きな変化が起きるような予感がしています。その前ぶれと思えるような変化が「タクシーの無料化」です。今までからの常識として、そんなことが信じられるでしょうか。

無料タクシー(0円タクシー)は、あのディー・エヌ・エー(DeNA)が都内に走らせているものです。このタクシーは、日清食品とコラボされたもので、「どん兵衛タクシー」と呼ばれています。対象区域は、新宿区など5区で、目的地は東京23区内全てOKだそうです。配車台数は50台。このタクシーをつかまえることができたら、本当にラッキーですね。

では一体なぜ、無料のタクシーを走らせることができるのでしょうか。それは、日清食品がタクシー代の全額を、広告費用として支払ってくれるからです。そのタクシーの中には、「どん兵衛」のプロモーション動画が流れ、タクシーの外装も内装もどん兵衛一色だそうです。
これから自動車の無人走行が現実のものになると、このようなタクシーがどんどん増えるかもしれませんね。

第218回 あくなき向上心

ある雑誌でカレーの「ココイチ」が新しい試みをしていることを知りました。普通、外食チェーンなどが売上を上げようとしたり、もっと多くの客を呼び込もうとするときは、割引券を配ったり、ポイント○倍などのキャンペーンをするのが普通です。でも、ココイチはそんなことをせず、別の路線をとっているそうです。

それは、ココイチを「漫画喫茶化」する方向性だそうです。今やココイチでは、全店舗の約半分、およそ700店に書棚を置き、1店舗あたり平均約1500冊ものコミック本を備えているそうです。ココイチはなぜこのような路線を進もうとしているのでしょうか。

それは、徹底したアイドルタイムの研究によるものだそうです。つまり、「ランチやディナーの間の、客がまばらにしか来ない時間帯には、客はどこに居るのだろうか?」という分析です。そのような観点から、あらゆる場所に目を向けた結果、出てきたものが「漫画喫茶」だったそうです。

もしココイチが漫画喫茶化すれば、今まで漫画喫茶にいた人々をココイチに呼び込めるし、ドリンクなどの売上増が期待できます。また、投資額としても、コミック本なら中古で安く仕入れられるし、一度揃えれば、汚れたり破損したりするまで使えるので、そんなに大きなものにはなりません。
経営陣は、漫画喫茶化による客数増やドリンクなどの追加売上増を計算した上で、漫画喫茶化への投資を決断したのでしょう。

ココイチではその他にも、全国の店舗でWi-Fiの導入を行ったり、コンセントの設置を行うなどの工夫をして、顧客への利便性を図っています。

私は、ココイチのこのようなたゆまぬ集客努力に感心しました。このような発想を利用して、塾においても、昼間のアイドルタイムに地域の人々に何か貢献するというような企画を考えるのも、一案かもしれません。

第217回 中国の行く末

お正月に『習近平のデジタル文化大革命』川島博之著〈講談社〉という本を読みました。この本を読んで、中国の行く末がとてもよくわかった気がしました。

まず中国では、急速度でデジタル文化大革命が進んでいるそうです。それは究極の監視社会を意味します。現在、中国には監視カメラが1.7億台以上も設置され、その映像は画像識別システムによって分析され、人々全ての行動が監視されているそうです。

その結果、人々はビクビクしながら毎日を過ごすことになるでしょう。そして、そのような社会が進めば、イノベーションを生み出す創造力は抑えられ、娯楽や文化は衰退していくことでしょう。その結果、いずれ中国の経済は停滞していくと思われ、よい職につけない大卒者も激増するようです。さらに、その後の中国についてもこの本では言及しており、その内容についてもとても興味深いものでした。

中国の行く末についてご興味のある方は、ご一読されてはいかがでしょうか。

第216回 人間の「白目」はなぜ発達したのか?

ある誌面でこのタイトルを見て、私はとても驚きました。それは、「人間の白目がなぜ発達したのか?」などということについて、考えたことも聞いたこともなかったからです。このタイトルをつけた文面は、京都大学の総長である山極壽一氏の講演のダイジェスト文に収録されていました。

さてみなさん、サルとゴリラでは、どちらが人間に近いかご存知ですか。それはゴリラです。サルは笑い声をたてませんが、ゴリラはたてます。またさらに興味深いのは、「サルは対面しない(相手の目を見ない)が、ゴリラは相手と顔を見合わせて、相手を見る仕草をする」そうです。サルにとって対面する局面は、威嚇の意味を含んでいますが、ゴリラの対面は、相手を観察するためなのかもしれません。

人間も、会話や食事など、いろいろな場面で対面をします。これによって、相手の気持ちをくみ取ったり、その変化を感じ取ったりすることができます。そのときに役立つのが「白目」です。白目を見ると、目の動きが良くわかります。そう言われてみると、動物には白目がなく、目の動きがわかりにくいと感じます。つまり、人間は白目を発達させることによって、相手の気持ちをくみ取る能力を高めていったようです。

私自身は時々、相手の目を見ないで話をしてしまうことがあり、それをなくすように注意しています。私は、これらの事実を知って、「これからは、せっかく人間だけに与えられた白目の特性を生かして、相手の気持ちをさらにくみ取れるよう、意識していこう」と感じました。

第215回 『形容詞を使わない 大人の文章表現力』

先日、上記の本を読み、とても感動しました。

私たちの日常会話では、次のような表現をよく使っています。
① 人間の体はすごい。
② プロの投手の球は生で見るとすごい。
③ 今日は風がすごい。
このような表現は、会話では何とか通用しますが、文章表現の場合はどうなのでしょうか。

この①~③では、ただ単に「すごい」という言葉で、話し手の言いたい意味を伝えようとしています。しかし、聞き手にとっては「具体的に何がどうすごいの?」と思うことでしょう。今はやりの「やばい」という言葉もそうですが、私も含め、どうも最近はありきたりの言葉でいろいろな場面をいっしょくたにして表現してしまいがちなのかもしれません。

では、先程の①~③を聞き手や読み手にわかりやすく伝えるにはどうしたらよいのでしょうか。それは、「すごい」という形容詞を使わず、その様子をもっと具体的な言葉を使って表現することです。例えば、①ならば次の通りです。
① 人間の体は精巧に作られている。

いかがでしょうか。このように表現すれば、「何がすごいのか」について正確に相手に伝えることができます。もちろんそのためには、頭をフルに使って、その「すごさ」にふさわしい言葉を探し、文をつくることが必要になってきます。

②については次のように言い変えてはどうでしょうか。
② プロの投手の球は生で見ると、その速さや迫力に圧倒される。

この場合でも、「速さ」「迫力」「圧倒される」などの言葉を選び、それらを組み立てて文をつくることが求められます。これらの作業をすることで、「考える力」も鍛えられることでしょう。

子ども達の学年に関わらず、このようなトレーニングをさせることは、「考える力」や「語彙力」を増やすためにも、大切なことだと感じます。

第214回 最近の赤ちゃんの名前

2018年11月にベネッセから、2018年に生まれた赤ちゃんの名前のランキングが発表されました。

男の子の一番人気は「蓮(れん)」だそうです。2位は「陽翔(はると)」、3位が「陽太(ひなた)」です。男の子の名前では「陽」を使ったものが人気で、ベストテンの中に4つ入ったそうです。

また女の子の1位は「陽葵(ひまり)」で、ここにも「陽」が使われています。2位は「芽依(めい)」、3位は「莉子(りこ)」です。女の子の名前では2音のものが人気だそうで、トップテンのうち6つが2音の名前でした。

ちなみに私の名前は「実(みのる)」ですが、これは「作物の実る季節に生まれたことや、実り多い人生を歩んでほしい」との両親の願いが込められているようです。私はその名前をとても気に入っていますが、その名前は現代の感覚で言えば、かなり古くさいものなのかもしれません。しかし、よくよく考えてみれば、その感覚には、数十年以上ものずれがあるのですから、当たり前といえば当たり前のことなのでしょう。