第248回 緊急ではないが重要なこと

私は最近、「緊急ではないが重要なことを最優先する」ということに関心をもっています。身の回りの出来事は、次の4つに分けることができます。
1.緊急かつ重要なこと
2.緊急であり重要ではないこと(例)外出中に急に雨に降られた。
3.緊急ではないが重要なこと
4.緊急でもなく重要でもないこと。(例)時間が空いたので、ぼんやりテレビを見る。

この4つのうち優先度が高いのは、もちろん1の「緊急かつ重要なこと」でしょう。このような例としては、「心筋梗塞にかかり、病院に緊急入院した」などが挙げられます。ここで大切なことは、「緊急かつ重要なこと」は、誰でも等しい割合で起きることなのか、ということです。私が最近読んだ本で「なるほど!」と思ったことは、「その割合は日頃の心掛け次第で減らせる」ということです。これを別の角度から見ると、「その人の人生において、『緊急かつ重要なこと』を減らすことができれば、その人はとても平穏無事に過ごすことができる」ということです。

では、その「緊急かつ重要なこと」を減らすにはどうしたらよいのでしょうか。私が「なるほど!」
と思った核心は、「『緊急ではないが重要なこと』を早め早めでやり続けていけば、『緊急かつ重要なこと』をなくしていくことができる」ということです。

それは例えば次のようなことが考えられます。「新鮮な野菜を毎日食べる」、「規則正しい生活をする」、「適度な運動をする」。これらは全て将来の健康を維持するために「緊急ではないが重要なこと」です。しかし、日々の生活でこれらを怠ったら、将来どういうことが起きやすくなるでしょうか。それは、将来、生活習慣病にかかる確率が高くなる、つまり、将来「緊急かつ重要なこと」が起きやすくなる、と言えるでしょう。

このことから、「緊急ではないが重要なこと」を日頃から率先してやるような習慣を身につけておけば、将来起きるかもしれない「緊急かつ重要なこと」を減らすことができると言えます。
ことわざで言えば、「転ばぬ先のつえ」というところでしょうか。これを知ったお陰で、私はますます「良いと思ったことは、何事も率先して早め早めにする」という行動を心掛けることにしました。

第247回 粋な会話

先日、人権団体「のりこえねっと」共同代表 辛 淑玉(しん・すご)氏の講演のダイジェストを読み、粋な会話について、とても感動しました。

辛さんがあるパーティーに出たときのことです。ある日系ペルー人の方が近付いて来て、「辛さん、歳はいくつ?」と聞いたのだそうです。辛さんは、「失礼な人ね」と思いつつも、「いくつに見える?」と聞き返しました。彼は、「30歳かなあ?」と言ったので、辛さんは「違う、違う」と言い、「私は38歳よ」と答えたそうです。すると彼は、「ボクはその歳が一番好きなんだ」と答えました。このようなシーンでは、普通の会話では「年齢よりずっと若く見えますね」などが多いようですが、この返し方の方がずっとおしゃれに感じました。

辛さんと彼はすっかり打ち解け、すてきな時間を過ごしました。そして彼は帰り際に、彼女の手に軽くキスをしました。彼女はうれしくなって、「私は今日はこの手を洗いません」と言いました。これに対しての彼の返しが絶妙です。「ボクは一生この口を洗わない」だったそうです。

いくつになっても、「大人の色気」や「おしゃれの心」は持ち続けたいものです。

第246回 野口雨情と「シャボン玉」

第246回 野口雨情と「シャボン玉」

先日、私は野口雨情についての神渡良平氏の文章を読みました。雨情は北原白秋、西条八十と共に、「童謡界の三大詩人」と並び称される程の人です。皆様の中にも「赤いくつ」(異国の地にもらわれて行った女の子のことを謳った歌)や「七つの子」(カラスの愛を謳った歌)をお聞きになった方も多いことでしょう。

雨情は、東京専門学校(現在の早稲田大学)にいたころから詩を書いていましたが、さっぱり芽が出ませんでした。詩人になることをあきらめて、他の仕事に就いてもうまくいかず、失意のどん底にいました。そんなとき、雨情は「みどり」という女の子を授かりました。彼はその子を目に入れても痛くない程かわいがりました。しかし、みどりは生後わずか7日後に天に召されてしまいました。

雨情は再び酒に浸る毎日を送るようになりましたが、ある日、雨情の夢の中に、亡くなった娘さんが現れたそうです。彼女は目にいっぱい涙を浮かべていました。その涙に雨情は心を動かされ、気付きました。「お前はわずか一週間しか生きられず、人生に挑戦することすら許されなかった。それに比べ、今の俺はどうだ。こんな五体満足な体をいただいていながら…」こんな気持ちになり、そこから立ち直り、その後、多くの童謡を書いたそうです。

その中に、「シャボン玉」という詩があります。皆様もその歌をお聞きになったことがおありのことでしょう。その歌の二番にこんな詩が出てきます。

シャボン玉 消えた
 飛ばずに 消えた
 生まれて すぐに
 こわれて 消えた
 風 風 吹くな
 シャボン玉 飛ばそ

この詩には、雨情のみどりちゃんに対する「人生を再び強く生き抜いていくぞ」という決意が秘められているようです。

最近の子どもたちは、このような情緒たっぷりの童謡などを聴く機会があるのでしょうか。神渡氏の文章を読んで、私も小さい頃のことや、いろいろな童謡を思い出しました。良いものはいつまでたっても人の心を揺さぶりますね。

第245回 『英語教育の危機』

私は盆休みを利用して、表題の本を読みました。著者は鳥飼玖美子氏です。氏は、立教大学名誉教授で、NHK「ニュースで英会話」などの担当もされていた英語通の方です。氏はこの本を通じ、2021年以降の日本の英語教育に、強い不安があることを訴えています。

詳しくは本書に譲りますが、ポイントとなることは、「英語で英語を教えるような教育法や、英文法の指導を軽視し、コミュニケーション重視の英語教育は、子ども達の英語力を伸ばすことにはならない」という主張です。この本には、私自身もずっと感じていたことが、理路整然と述べられており、とても共感しました。

私は学問の基本の一面としては、「今獲得している知識をもとに、さらに上のステップに上ったり、未知のものを切り開いていける力を養えること」があると思います。例えば、英単語の発音獲得の基本メソッドとして「フォニックス」という理論があり、その中に「魔法のe」というルールがあります。

それは、例えば次のようなものです。pin という単語を分解すると、〔プ・イ・ン〕となり、それを合わせて〔ピン〕と発音します。ところが、 pin の後に e がつき、pine という単語になると、最後についている e がその前にある i という母音に魔法をかけ、 i〔イ〕はアルファベット読みの i〔アイ〕に変化します。すると pineは〔プ・アイ・ン〕となり、〔パイン〕と発音します。いかがでしょうか。「そんなルールは初耳だ」と驚かれる方も多いことでしょう。

このルールを知ると、例えば fine,five,nine,site などの単語は、例え初出であってもスラスラと発音することができます。もちろんこのルールは、cut → cute などにも適応します。
私はこのルールを知ったとき、「なぜ今までの英語教育では、このようなルールを教えてくれなかったのか?中学生のときから、このルールを知っていれば、英語の習得がもっと楽になったのに!」と、とても残念に思いました。(余談ですが、フォニックスについては、後日その思いを『アルファベットの名人』というテキストにして、皆様から少なからず、感謝の声をいただきました。)

英単語の読み方ひとつにしても、英単語をシャワーのように浴びせて、その発音を覚えさせようとするより、まずはフォニックスを教え、その後、それをもとに英単語を読ませて行く方が、より合理的で、生徒の負担も少なくて済むことでしょう。

これから始まる新しい英語教育は、そのような観点から考えると、いかがなものなのでしょうか。皆様の中には、もう既に来年度から使われる小学5・6年生用の英語の教科書をご覧になった方もおられることと思います。塾の中には、それをもとにした授業を展開していくところも多いことでしょう。私としては、その路線とは違った方向になりますが、自塾独自の英語教育を推進していくというのも、ひとつの道としてあるように思います。皆様のお考えはいかがでしょうか。

第244回 「腸」の大切さ

中学の理科で人体のことを学ぶと、とても興味深いことがわかります。それは、「胃や腸は体の中にある外界」だということです。一般的に、「胃や腸は体の中にある」と思いますが、「食べたものや外界にあるものが、直接人体と接する場所」と考えれば、胃や腸は、外界と直接接している最も危険な場所なのです。だから、腸には体全体の免疫細胞の約6割が集まっています。また、腸内の神経細胞は、約一億個もあり、「腸は第二の脳」とも言われています。それは、腸は外界からやってくる様々なものを、体の中で最初に処理する場所だからです。
 
腸は、ネットワークを通じて、あらゆる臓器とつながっています。特に、脳とは迷走神経を通じて相互に情報交換しています。「緊張するとお腹が痛くなる」とか、「『うつ』の患者さんには便秘や下痢の人が多い」などもその一例です。

また、腸内の環境が悪化して、腸の老化が進んでくると、腸粘膜の細胞が疲弊してきて、細胞同士のつながりが壊され、所々に穴が開きます。これがリーキー(もれやすい)ガット(腸)症候群といわれるものです。リーキーガット症候群になると、今までは入れなかった病原菌や、未消化のタンパク質などがその穴を通じて入ってきて、いたずらをします。年齢がいくと、花粉症などが起きるのもそれが原因だと言われています。

人間は60歳を過ぎると、腸内細菌の組成が変化し、悪玉菌の増加とともに、善玉菌が急減しやすくなります。それを防ぐのは、規則的な生活や、バランスの取れた食事、適度な運動です。また、15分間ゆっくりとぬるめのお風呂につかるとか、お腹をマッサージするなども、効果的なようです。

私も腸の健康には日頃から充分注意しようと思います。腸のことにご興味をお持ちの方は、『新しい腸の教科書』江田 証 著〈池田書房〉などの一読をお勧めします。

第243回 「赤いうどん」という不思議な野菜

まずは次の写真をご覧下さい。
写真はこちら
http://www.tsumugi.ne.jp/photo/yomoyama/20190819.html
このような野菜をご覧になったり、食べたりしたことはおありですか。これはアフリカ原産の「レッドヌードル」というインゲンのような野菜です。

私は、この野菜の種を、ある植物学博士のような方から分けていただき、試しに5月に植えてみました。すると、写真のような美しい花が咲き、まるでミミズのような(?)実がなりました。

まさにレッドヌードルという名がぴったりの野菜です。これはインゲンのような野菜で、みそ汁に入れて食べると、コリコリした食感があり、とても美味しかったです。暑さにも強く、採っても採っても次から次へと実がなるので、とても重宝な野菜です。

第242回  現在の中学生の英語力

8月1日に、小6,中3学力テスト結果が発表されました。英語において、英作文の問題で「彼女はローマに住んでいます」という文章の正答率は、約34%だったそうです。中1で学ぶこのような易しい英作文でも、中3生の約3人に1人しか正解できないということに、私は「やはり、私が危惧していた通りだ」と感じました。

それは、基本的な英文法をマスターできていない子ども達がほとんどである、ということです。ですから、25語以上の英作文を書かせる問題の正答率が、たった2%だったことも、容易に理解できます。その根底には、国語力不足も横たわっていると思います。「彼女は/ローマに/住んでいる」という日本文において、「主語は『彼女は』で、述語(動詞)は『住んでいる』である」ということがつかめているか、がまず問題となります。次に、英語においては、彼女はネ/住んでいるヨ/ローマにネ」という感覚で話されていることをつかんでいるかが問題となります。そこで初めてShe/lives/in Rome.という文を作ることができます。

もちろんそこでは、三単現のsやinという前置詞の知識も必要となりますが、私は英語のマスターにおいては、「英語の構造をまず理解することが大切だ」と思っています。しかし、これからの英語教育の流れは、それとは真逆で、「シャワーのように英語を浴びてマスターする」というような方向性です。それで果たして、今まで以上に子ども達は英語に堪能になれるのでしょうか。

私は、これからの英語教育が進めば進むほど、「She Rome live.」のような英語を話す生徒が増えていくように感じています。

第241回 『ケーキの切れない非行少年たち』

私はタイトルに惹かれて、表題の本を読みました。著者は児童精神科医である宮口幸治氏で、精神科病院や医療少年院に勤務されている方です。

皆さんが塾生に「丸いケーキを三等分するにはどう切ればいい?」と質問したとしたら、塾生は何と答えるでしょうか。少しでも分数を学んだ生徒なら、少し考えただけで、ベンツのマークのような切り方を思い浮かべることでしょう。

しかし、多くの非行少年たちはそれがわからず、円に二本の平行線を引くような切り方を答えにするそうです。詳しくは本書に譲りますが、非行を犯す子どもたちは「性根が悪い」とかではなく、「認知機能」が弱く、「そのような行動をしたら、その後どういうことになるか」などについて、考える力が劣っているそうです。

「認知機能が弱い」ということに関しては、入塾の相談に来る生徒さんの中に、次のような傾向をもつ生徒さんがおられませんか。
1.漢字や計算がなかなか覚えられず、覚えてもすぐに忘れてしまう。
2.計算において、繰り上がりができない。
3.黒板に書いてある事柄を写せない。
4.文字をひとかたまりとして読めない。

このような傾向をもつ生徒への指導としては、普通の学校の勉強を教えることでは対応できないようです。それよりも、「点つなぎ」のような「認知機能強化トレーニング」が効果的なようです。ちょうど当社の教材の中に、『あたまの準備運動』というものがありますが、そのようなトレーニングが必要なようです。

最近、「なぜそんな事件を起こすのか。相手の立場に立って考えることはできないのか。」などと疑問に思う事件が多発しています。この本を読むと、その問題の解決には、「その子にふさわしい教育の必要性」があることがわかります。

第240回 最近の学校の様子について考える

さて、最近私は、知人の中2の娘さんが不登校になってしまったという話を聞き、現在の小・中学校の実状などについて、調べたりしています。私が小・中学生だった頃のことを考えてみると、同じ年齢の子ども達が教室に集い、一斉に先生の方に向いて同じ授業を受ける、というのは当たり前のことで、何も疑問は持ちませんでした。また、宿題の量や学校での決まり事(ルール)もおおらかで、そう負担がなかったように覚えています。

ところが、現在の子ども達を取り巻く環境は、その頃とは大きく変わっているようです。まず、考え方が多様化しているようです。「そもそも一体なぜ、年齢が同じというだけで、皆それぞれ違う子ども達なのに、同じクラスで同じ授業を受けなければならぬのか」などと根本的な疑問を持つ人もいます。また昔と比べ、宿題の量や提出物も増え、そのペースについていけない子どもや保護者も多いようです。特に、シングルマザーの家庭などは生活が忙しく、子どもへの手助けが疎かになりがちで、大変なようです。

子どもが不登校になる原因は、いじめの問題など、いろいろあると思われますが、上記のような画一的な学校のシステムにも原因があるのかもしれません。今後の教育システムも、フィンランドのような国を参考にする必要があるかもしれません。特に、現在ではエドテックが進んできました。学力がそれぞれ違うのに、生徒全員に同じ宿題を出すのではなく、生徒一人一人のレベルに合った課題を与えるなども、可能な世の中になっていると思います。これからは、そのようなシステムの利用も大切だと考えられます。また、英語4技能の能力アップも大切ですが、生徒それぞれの学力の根本的な向上は、また別の方法や仕組み作りもあると考えられ、そのための追求も重要なように思います。

第239回 長友佑都のファットアダプト食事法

私はサッカーにはあまり詳しくないので、長友選手については「日本代表として3度のW杯に出場した素晴らしいプレーヤー」くらいしか知りません。ただ、健康オタクを自称する私としては、「体を劇的に変える28日間プログラム」という本のサブタイトルにひかれ、表題の本を購入して読んで見ました(出版社は幻冬舎)。

長友選手は、ブラジル大会を28歳という、サッカー選手として最も脂がのっている歳で迎えましたが、不調に終わりました。一般的に、アスリートは加齢と共にパフォーマンスが落ちるとされていますから、32歳で迎えたロシア大会での活躍は、期待されていなかったようです。しかし、彼はその大会で絶好調でした。その秘密がファットアダプト食事法にあったそうです。ファットアダプト食事法とは、脂質(ファット)をエネルギー源として上手に使えるようにする(アダプテーション)食事法だそうです。

詳しくは本書に譲るとして、ポイントは、「糖質の摂取をコントロールして、血糖値の乱高下を抑え、良質のたんぱく質と脂質を積極的に摂ること」です。彼は、食事の大切さについて、ブラジル大会が終わった後に気付いたそうです。つまり、「いくら練習しても思うように体が動かない,怪我も多い,これらはトレーニング不足ではなく食事の問題である」ということです。そのきっかけは、世界一のテニスプレーヤーであるジョコビッチ選手の本だったそうです。私もその本を読みましたが、「なるほど、トッププレーヤーは『何を食べるか』ということも勝つための重要なポイントなのだ」と知りました。

そこで、長友選手も食事についての研究を始め、専属のシェフも雇い、お医者さんのアドバイスも受けつつ、2年近くもこのファットアダプト食事法を実践し続けたそうです。その結果はめざましく、彼自身は「今までは、燃費が悪くて足回りもいまいちだった古めかしいセダンが、ガソリンでも電気でも走れるハイブリッドのスポーツカーに一気に進化したようだ」と述べています。

私自身も、長友選手とまではいきませんが、食事,運動,睡眠などが著作や仕事に大きく関係していることは実感しているため、この本の内容はとてもよく理解できました。この本を読んで、私が最も驚いたことは、「長友選手は栄養学を専門とするお医者さん並みに勉強し、研究している」ということです。どんなスポーツの選手であっても、一流となるには、ここまでのレベルに到達しなければならないのか、と痛感しました。一流選手になるには、肉体面を鍛えるだけでは足りず、精神面のコントロール、そして「勉強」も大いに大切なようです。