第261回 書く力をつける

私は今、コピーライターである梅田悟司氏が書かれた『気持ちを言葉にできる魔法のノート』〈日本経済新聞出版者〉を読んでいます。この本を読もうと思ったきっかけは、先日、『作文・小論文の名人』というテキストを出版したこともあり、「上手に文を書くことの本質は何か」ということを突き詰めたい、との想いからです。

この本を読んでいて新鮮に感じたことは、「言葉には『内なる言葉』と『外に向かう言葉』がある」ということです。文を書く上で大切なことは、自分の中から『内なる言葉』をたくさん引き出すことのようです。

詳しくは本書に譲りますが、例えば「将来なりたい職業」という題に対し、「医者になる」というテーマで作文を書くとします。そのとき大切なことは、まず『内なる言葉』を使って、「私はなぜ医者になりたいと思っているのだろうか」とか、「医者になって何をしたいと思うのか」などと、自分に問いかけることのようです。次に、それらを相手に通じるように整理して、まとめます。最後に、それを『外なる言葉』で表現すれば「できあがり」とのことです。

この一連の流れの中で最も大切なことは、「『内なる言葉』で自分自身に質問し、それに答えていくことのようです。それが即ち、「考える」ということになるのかもしれません。「最近の子ども達は考えることをしない」などという声も聞かれます。大人も子どももスマホなどに振り回されて、『内なる言葉』と向き合う時間が昔より減っていることも、その一因としてあるのでしょうか。

と、ここまで文章を書いてきて、「やはり!」と感じました。ここまで書くのに30分ほどを要していますが、これまでの私の頭の中は「どうしたら読み手にわかりやすく、本のエッセンスを伝えられるだろうか」とか、「『内なる言葉』の本質は何なのだろうか」とかの質問に答えること、つまり「考える」ことで一杯でした。

他の生物と違って、人間だけが「考える」ことができる動物です。私としては、ますます「考える」ことを習慣とし、より自分を深めていきたいと思います。

第260回 変化する中国

私は、ある経営コンサルタントの方の記事を読んで衝撃を受けました。以下は、それをもとにした私のレポートです。

中国は一党独裁の国なので、国家戦略も法律も国民の同意を得ずに変えられます。そこで、中国はその強みを生かして、14億人という膨大な国民を使い、他国にはできない「総デジタル化」という社会を変える実証実験を進めているそうです。米国の調査会社IDCの報告書によると、中国の監視カメラは、2020年までに27億6千万台に達するそうです。これは、日本の500万台と比べると桁違いな数です。これによって、中国では歩行者だけでなく、自動車、電車、飛行機などの位置情報も全て収集されているとのことです。

これらの設備と顔認証システムによって、個人が特定され、誰がいつどこを歩いていたのかまでもわかってしまうそうです。その一例として、6万人の観衆が集まるコンサートで、警察官が自分の顔にかけている顔認証サングラスを使って逃亡犯を捕まえる、というような場面も生まれています。

また中国では、自動運転の実験も積極的に行われているようです。自動運転車が普及すると、自家用車が不要になり、駐車場もいらなくなり、渋滞も交通事故もなくなるとのことです。

また、中国では出前も進化していて、GPS付きのスマホで料理を注文すれば、その人がどこにいても、その人のいるところにその出前が届くそうです。このシステムに自動運転が加わったらどうなるのでしょうか。これから中国を先頭として、世の中はどのように変化していくのでしょうか。

第259回 文章作れぬ若者

2019年12月3日に、OECDが行った学習到達度調査(PISA)〈2018年調査〉の結果が発表されました。それによると、日本の15歳の読解力は、15年調査の8位から15位に後退しました。翌日の読売新聞では、一面トップに「文章作れぬ若者」という記事が載りました。

大手予備校の現代文講師である小池陽滋さんは、ある受験生から提出された要約文を読んで、「またか」とため息をついたそうです。そこには「この公園には滑り台をする」と書かれていたとのことです。こうした「主語・述語が不明確で、意味が通じない」文章は、近年特に目に付くそうです。中には、原稿用紙2枚分の作文を、全て「、」でつなげ、一文で書いてきた高校生もいるそうです。

この原因の1つには、SNSの普及があると考えられています。スマホを使って友人らと短文をやりとりする「LINE」などの利用が広まっています。それを利用すると、「スタンプ」だけでも感情を表すことができます。このようなことばかりしていると、正しい日本語に触れる機会も減り、言葉の乱れに通じるとも考えられます。企業からも「若手社員の作った社内文書がわかりにくい」という声が高まっているようです。

当社では数年前から、子ども達の読解力が落ちていることや、文を書く力が衰えていることを危惧してきました。そこで、『読解はかせ』や今回新発売の『作文・小論文の名人』などの開発に力を入れてきました。これからは、これらの教材も利用していただき、子ども達の国語力が元通りになることを願うばかりです。

第258回 これからの経営方法

先日、知人のお子さんで、大学2回生の女子学生と話す機会がありました。彼女は、京都の祗園にある、ある高級料亭でアルバイトをしています。そこは、礼儀作法に厳しく、それはそれなりに勉強になるようです。そこの社長さんは、職人上がりの厳しい人のようで、アルバイトにも高度なことを要求するとのことです。

例えば、一品一品の料理の説明です。コース料理の突き出しに5品出たとしたら、それぞれについて、その材料などをお客さんに説明するのが義務づけられているとのことです。そのため、アルバイトは入店と同時にその説明を覚えさせられます。そして、それを覚えられた段階で、タイムカードの打刻を許されるそうです。また、研修期間は3ヶ月ですが、ある基準に達しないと、6ヶ月に伸ばされ、それまでは少し低い時給のままだそうです。仕事ぶりも、正社員並のレベルと店への忠誠を求められるとのことです。

このような職場環境のため、向上心や根性のあるアルバイトは長続きするようですが、多くのアルバイトは次々に辞めていってしまうとのことでした。社長さんとしては、アルバイトに仕事や社会の厳しさを覚えさせたいとの想いがあるのでしょうが、現実問題としては、この人手不足の世の中を考えると、厳しい経営法だなと感じました。

この話を聞いていて、「私ならどうするかな」と考えました。一つの方法として、「楽しい雰囲気の中で、アルバイト達の能力をアップさせ、社長さんもアルバイト達も喜ぶ」という道が考えられないでしょうか。例えば、前述の料理を覚える件では、その暗記をゲーム形式にしてしまうなどです。何分以内に覚えられたらポイントが加算され、そのポイントがボーナスになる、などの工夫です。このようにすれば、アルバイト達は早く覚えようと必死になるし、同時に能力もアップすることでしょう。また、経営側にとっても、ワイワイと楽しい雰囲気の中で、アルバイト達のスピードアップや能力の向上が期待出来ます。そして、それらの方法が定着率のアップにつながるかもしれません。職場を大学のサークルのような雰囲気にして、アルバイト達のやる気アップや能力向上を図るという経営方法も、これからの時代には大切なように思います。